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三ヶ月分の給料未払いのまま、つとめていた会社が倒産してしまった。
経営者の舵取りひとつで会社は潰れてしまう。
行先不明の船に乗るのはだめだ。
やはり自分が船頭にならねば・ ・・。昭和四十六年、天下一品創業者 木村勉 三十六才の時であった。
しかし、何をするのかが問題であった。
手元に残るお金は三万七千円。
これで一体何ができるか?。
屋台でラーメン を食べながら「ハッ!」と閃く。
「ラーメン。これやったら、できるかもしれん・・・」
「金はないねん。けど屋台作ってくれへんか?」こう言うと板金職人の友人は「出世ばらいでええわ!」と快く作業にかかってくれた。
持つべきものは友達である。
「綺麗な鉢でラーメンを出したい」との思いから屋台初の湯沸かし器も取り付けた。
天下一を目指しつつ、京都で一番貧粗な屋台が完成した。
しかし困った、肝心のスープを炊く鍋が買えない。
ふと目にとまったのはガソリンスタンドに置いてあるペール缶。
ニオイがとれるまで、洗っては煮沸を繰り返した。こってりスープはこのペール缶から生まれた。
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